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December 09, 2005

ピュ〜ぴるさんインタビュー「私自身が作品」

十代の頃より独学で洋裁を始め、ファッションの世界でも活躍され、横浜トリエンナーレでは毎週土曜日にパフォーマンスを行っているピュ〜ぴるさん。ご自身の作品、そしてその背景についてお聞きしました。

2005年11月26日(土)、会期も後半を迎え、フィナーレに向けて着々と準備の進む中、会場の作家控え室にてパフォーマンス後のピュ〜ぴるさんにお話をお伺いしました。
パフォーマンスではPLANETARIA / 海王星のニットを着て、多くの観客が集まる中、「愛の生まれ変わり」の壁に登り、ニッティングを披露しました。当日はじっとしていると手足がかじかむくらいの寒さでしたが、「ニットは熱くて、汗まみれ」と言われたように静かであっても、熱いものでした。


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            パフォーマンス中のピュ〜ぴる


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パフォーマンス中のピュ~ぴるを見守る多くの観客

今回の出展作品「愛の生まれ変わり」はタイトルの通り輪廻転生を意図して作られています。それは「作品は私そのもの。」と話されたように作者の日常から生み出されたもので、作家と作品は密接に繋がっています。過去を表現した「ニット」、現在の「鶴」、そして未来へとつながる「映像」の三部構成はそれぞれ作者の人生を視覚化したものと言えるでしょう。

「作品は日常にショックがあると生まれます。普段、仲間と一緒にいて笑ったり、楽しんでいる時、あえて何か作りたいとは思いません。美意識の問題だけど、日常の苦しみ・つらさを人にぶつけるようなことをしたくないのです。そういった時、ひたすら同じものを作り続けるなど、傍から見ると美術作品を作っているような行為に陥ります。つまり、私にとって美術作品は結果として生まれるものであって、作りたくて作っているわけではないのです。」とおっしゃるように、なにかしら不安をひきおこすような考えが頭の中に浮かぶと、それを気にせずにいられない状態になり、同じ行為を繰り返して精神の安定が図られるようです。「ニット」は3年以上編み続けられ、「鶴」も1年を越えて折り続けられています。ピュ〜ぴるさんは、作り続けるという行為があるからこそ、生きていけるのだと思いました。作り続ける行為はピュ〜ぴるさんにとって欠くことのできない重要な行為なのです。

ピュ〜ぴるさんにとってショックなこと、それは「努力ではどうしようもない」と思い知らされることです。作家が抱えるセクシャリティの問題は深く作品に関わっています。「心は女性でも、体は男性。12歳の頃から学校でいじめられ、死んでしまいたいと思ったこともありました。原因は、自分ではどうしようもできないことなのですよ。自分て何だろうと思いました。世の中の美術作品の中には気持ちの悪いものをそのまま、あえて表現しているものもありますけど、私にとっては日常の中での辛い事や気持ちの悪いものを永続的に感じているので、そのようなものに惹かれることはありません。明るい中で明るいものを見てもほとんど気が付かない。でも、暗い闇の中からならほのかな明かりでも明るいことに気付くんですよ。」と、ただ綺麗なだけではない作品は深い作家の体験から生まれています。

ピュ〜ぴるさんは現在、東京に住んでいます。環境が整っている海外の方が暮らし易いのでしょうが、東京で活動しています。「将来的に海外に住む予感はしています。確かに日本は住みにくいです。文化的、法制度的に遅れているから。それでも東京に住んでいるのは仲間がいるからです。仲間には弱い人が多いです。社会的にもだけど、本人が。仲間内での愚痴とか聞いているとホントうっとうしいし、そういうのを相手に向かってきちんと言えよ、ぐらい思います。けど、愛おしいんです。でも、厳しくてもつらくても結局、最後は自分で立たなければならないと思います。そして奮い立たせるものとして私の作品があればうれしいし、そういうことをみんなに伝えられたらと思います」。人生に苦しんでいる人に対し少しでも手助けができないかと作者は考えています。現在、取り組んでいる次の作品もそうした意図によるものです。
次の作品は作家自身のポートレートになります。ピュ〜ぴるさんの作品は時代とともに変化していきます。ニットに身を包み、武装していた頃から、そうしたものを脱ぎ捨て、新たな境地を見せた映像作品、それに続く作品です。そのため現在、過酷な肉体改造を行っています。「人はほとんど外見で判断します。それを逆手にとった、だから何なの?という作品」とおっしゃるよう、社会に向って疑問を投げかけ、「常識」に挑戦するような作品となりそうです。そして努力ではどうしようもないことで人生に苦しんでいる多くの人に対し、メッセージを投げかけるでしょう。

ピュ〜ぴるさんが作品を作り続けるのは、ピュ〜ぴるさんがいることで救われる人が確かにいるからです。「自分でつらいことをあえてしようとは思わない。けど、自分の存在で助かる人がいる。その人たちの思いがあるから、つらくても生きていこうと圧倒的な力が湧いてくる。」との言葉は、インタビューの中でも大変印象的でした。

今回のインタビューを終え、「ピュ〜ぴるさんは逃げない人だ」との思いを強くしました。努力ではどうしようもないことにぶつかっても、嫌な陰口を言われても、取っ組み合いの喧嘩をしても何があろうと引かない。そのようなつらい経験を乗り越えて今のピュ〜ぴるさんがいると知りました。ただ綺麗なだけの作品ではない、作品の背景をお伺いすることができ、今までとは作品を見る目が変わるほど印象的な出来事となりました。

文  平野 修二
写真 AQIRA


投稿者 平野 修二 : December 9, 2005 09:56 PM

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