芸術の自律をめざして
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AANスタディーズ:「オランダ報告:アーティスト・イニシアティヴを考える」に参加してきた。
「アーティスト・イニシアティヴ」とは、芸術家やオルタナティヴ組織による自主管理のスタジオ、芸術活動のことだ。この日は、AANディレクターの嘉藤笑子さんが2005年秋に視察したオランダのさまざまな「アーティスト・イニシアティヴ」の詳細をスライドで紹介しディスカッションするという勉強会。東京や茨城など日本で実際にイニシアティヴの運営を行っている方や、オランダでAIR(ア-ティスト・イン・レジデンス)に参加したアーティストの話も聞くことができてたいへん有意義な会だった。
会の途中で突然の停電、その後ストーブの出力を落とした故のただならぬ寒さに、トリエンナーレ会場の寒さがフィードバック、アートと寒さの相関を思ったが、やはり関係性はあるようだ。イニシアティヴの成り立ちはさまざまなケースがあり、なかでも多い建物の再利用系では、学校や工場、修道院跡等がある。学校は教室をそのままスタジオに転用しやすく、修道院では宿泊施設があるのでAIRとしてすぐ使えるが、工場を再利用する場合は内装や冷暖房の設備に労力がかかる。あるイニシアティヴでは、アーティストがストーブを各自工夫して作り、それがストーブカタログとして本になっている。自律するアートと寒さとは無縁ではないと震えながら思った。
オランダの「アーティスト・イニシアティヴ」は30年の歴史があるという。はじまりは「スクワッド」と呼ばれる空きビルの占拠。N.Y.のSOHOも同じ歴史を持つ。かの地ではそれは「不法」ではないらしい。70年代のムーブメントが綿々と続いているのを感嘆すると同時に日本でそれが起こらなかった理由が分かった。日本と社会システムが違うのだ。(最近日本でもホームレスに、占拠している公園の住所が認められる判決が出たが……)ところがオランダでも移民問題、右派の台頭等で社会システムが変りつつあるようで、イニシアティヴの運営方法に変化がでてきたとのこと。
現在の多様なオランダのイニシアティヴの現状を聞いていると、どうも腑に落ちない。なぜ、日本ではこのような活動が少ないのか。ディスカッションのテーマはここに集中した。「オランダでは芸術家の社会的地位が高いから」と嘉藤さんは言う。芸術家として尊敬され、社会の中で成り立っていくチャンスが非常に多い。だから芸術家も社会貢献を自然に行う。基盤が違うとなると日本でのこうした活動は前途多難だが、少しづつひとつづつAA(アート・オウトノミー=芸術の自律)の実例を増やして行きたい。
投稿者 takahashi : January 30, 2006 04:28 AM
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